井戸洗浄システム(井戸洗浄工事)
Well Cleaning System
ウェルクリーニングシステム
井戸の障害(湧出量の減少、水位の低下etc.)のほとんどは、自然環境の変化によるものではなく、井戸自身に原因があることがわかってきました。
井戸の障害の原因は、ポンプ機能の低下・故障、スクリーン(取水口)の目詰まり、鋼管の腐食・電食など様々です。水質・使用状況にもよりますが、長期にわたって使用されている井戸では、このような障害が発生する可能性が高くなります。
井戸を将来にわたって良好な状態に保ち、末永く使用するため「WELL CLEANING SYSTEM」による井戸のリハビリテーションをお勧めいたします。
施工の流れ図
水量減少・水位低下のメカニズム
長期にわたって使用されている井戸では、地下水に溶け込んでいる成分が析出(スケール)しスクリーンに付着したり、地層中の細粒分がスクリーン周囲に濃集して、目詰まりを起こすことがあります。目詰まりし開口率が減少したスクリーンでは、流入する地下水の流速が速くなるので、さらに目詰まりが広がります。このようにして除々に水量の減少、水位の低下が生じていきます。
「WELL CLEANING SYSTEM」では、スクリーンおよびその周辺に付着したスケール等を除去し、井戸を若返らせます。揚水能力の低下には早い時期に目詰まりの洗浄作業を行うことが肝要です。目詰まりの進行が著しく、極端に揚水能力が低下した後の井戸洗浄では、湧水能力の回復が非常に小さいことが多いです。
対策工の実施
様々な工法で井戸孔内を清掃します。
▲特殊車両による井戸洗浄状況
ブラッシング(両環ブラシ,円盤ブラシ)
▲特殊車両による井戸洗浄状況
ベーリング
▲ブラッシング
両環ブラシ挿入状況
▲ブラッシング
円盤ブラシ挿入状況
▲ブラッシング
円盤ブラシ引揚状況(スケール回収)
▲スワビング
スワブ玉(ゴム板)挿入状況
▲スワビング
スワブ玉(ゴム板)引揚状況
孔内洗浄工法 | 内容・目的 |
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ブラッシング | 孔径に適合した鋼製のブラシを井戸内で繰り返し上下させて、孔壁に付着したスケール(水あか)を掻き落とす。 |
スワッビング | 孔径に適合したゴム製のパッカーを井戸内で繰り返し引揚げ、孔内に負圧を作る。強い水の流れを生み出すことでスクリーンとその周囲の充填物に刺激を与え、井戸の目詰まりを改善する。 |
ベイリング | 長期間のポンプ運転やブラッシング・スワッビング等の清掃工事により、孔底部に沈澱した砂・泥・スケール等を底に弁のついたツールで地上に回収する。 |
バックウォッシュ (逆流洗浄) |
孔内に清水を大量に注水することで、揚水時と逆の水の流れを作り出し、 孔壁周辺の細粒充填物による目詰まりを改善する。 孔口を密閉、清水を孔内に圧入し、逆洗効果を高める圧入工法もある。 |
ウォータージェット (高圧洗浄) |
孔内に挿入したノズルから清水を圧力で孔壁に噴射し、スクリーンを 閉塞しているスケールを破壊し取り除く。 |
WELL CLEANING SYSTEM 施工結果例
BEFORE |
AFTER |
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井戸洗浄前の目詰まりしたスクリーン |
井戸洗浄後のスクリーン |
この井戸のスクリーンは左図上図のようになっています。
ウェルスクリーン(巻線スクリーン)といい、開孔率が高く、地下水を呼び込みやすい構造になっています。
洗浄前のスクリーン(上段左)はスケールにより完全に閉塞しており、地下水が井戸内に流入しにくい状態になっていました。 一方、洗浄後(上段右)では、スケールが取除かれ井戸の能力が飛躍的に回復しました。
洗浄前自噴量:毎分43リットル → 洗浄後自噴量:毎分1,800リットル
BEFORE |
AFTER |
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井戸洗浄前の目詰まりしたスリット |
井戸洗浄後のスリット |
この井戸のスクリーンは左図上図のようになっています。
スリットスクリーンといい、他のスクリーンと比較して開孔率が劣り、目詰まりも起こしやすいなどの欠点があります。
その分コストは低く抑えられるため、試掘井戸、家庭用井戸等に多く用いられます。
洗浄前のスリット(上段左)は瘤上に発達したスケールがスリットを完全に塞いでおり、地下水が井戸内に流入しにくい状態になっていました。 一方、洗浄後(上段右)では、スケールがきれいに取り除かれ井戸の能力が飛躍的に回復しました。
洗浄前自噴量:毎分120リットル → 洗浄後自噴量:毎分860リットル
BEFORE |
AFTER |
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井戸洗浄前の目詰まりしたスクリーン |
井戸洗浄後のスクリーン |
この井戸のスクリーンは左図上図のようになっています。
パイプベーススクリーン(NSTスクリーン)といい、ウェルスクリーンと比較して開孔率はやや劣りますが、外圧に対する強度は大きくなっています。
スクリーン(上段左)はスケールによってかなり塞がっており、丸孔が見にくい状態でしたが、洗浄後(上段右)では、スケールが取り除かれ丸孔がはっきり確認できます。
また、開口率が増加したため、洗浄後の水位降下量がかなり小さくなりました。
洗浄前揚水量:毎分1,410リットル → 洗浄後揚水量:毎分2,599リットル
洗浄前水位降下量:20.3m → 洗浄後水位降下量:5.62m